妊娠後期になると、ふっくらとした服を着たりしてそれまでお腹が目立たなかった妊婦さんも、急激にお腹が出てきます。
特に妊娠36週0日から39週6日にあたる臨月(りんげつ)には、赤ちゃんの体重は3,000g前後になっています。
この頃から出産に備えて少しずつ赤ちゃんの頭が骨盤の中に下がってくることで、妊婦さんは腰痛に悩まされることになります。
出産まであと一息の時期、辛い腰痛に負けないためのストレッチで痛みを緩和できます!
この記事では、臨月のつらい腰痛の原因と、姿勢を正して腰痛緩和に効果的なストレッチなどを紹介しています。
臨月のつらい腰痛の原因と対策
臨月に赤ちゃんの頭が骨盤の中にすっぽり収まると、出産の準備が整っていて、安産傾向だと言われています。
しかしそのためにお腹が張ったり、膀胱が押しやられて頻尿になってしまいます。
くしゃみやせきなど、ちょっとした刺激で尿漏れしやすいとともに、骨盤が赤ちゃんに押し広げられて腰痛にも苦しむことになります。
臨月は骨盤が開いて腰痛になりやすい
妊娠すると、女性はつわりなどたくさんの身体の変化に直面します。
臨月になるといつ出産を迎えても良いように、母体を起こしておこうとホルモンバランスが変化し、睡眠が浅くなったりもします。
それに加え、今まで体重の増加が緩やかだった赤ちゃんも、身長が2倍、体重が3倍などと一気に成長します。
これによりママの体の重心も前のめりになり、関節、腰などに多くの負担がのしかかります。
また、臨月にはリラキシンというママの関節や靭帯(じんたい)をゆるめるホルモンが分泌され、下の図のように骨盤も開きます。
リラキシンによって骨盤が開き、出産時に赤ちゃんが通れるようになります。
左右の骨盤をつなぐ、腰にある恥骨結合(ちこつけつごう)という部分がゆるむことで、身体を支える力が弱まり、腰痛の原因になるのです。
お腹が突き出て腰を反った姿勢が原因
妊娠中期から後期にかけて、腰が前に反ることで重心も前に移動します。
重心が変わると、腰の回りの筋肉や靭帯などに大きな負担がかかります。
また、大きなお腹が邪魔でうつ伏せや仰向きが苦しく、横向きでないと眠れなくなると、同じ姿勢で身体が長時間固まり、腰痛がひどくなってしまいます。
腎臓が後ろに圧迫されるため
臨月で変化するのは骨盤だけではありません。
骨盤の周辺には胃や腸、腎臓などの様々な臓器があります。
お腹が大きくなり腎臓が後ろに圧迫されると、腎臓の後ろにある背筋まで圧迫されます。
背筋が圧迫されると腰の痛みで寝返りしづらくなったり、同じ姿勢を長時間保てなくなります。
妊婦健診で問題視される足のむくみも、腎臓が圧迫されることで起こりやすくなってしまいます。
このように様々な身体のトラブルに悩まされる臨月ですが、赤ちゃんと会えるまでもう一息の辛抱です。
早く出産を迎えられれば、産前特有の腰痛からも早く解放されます。
どのような姿勢をとっても改善されない腰痛は、赤ちゃんの準備が早めに整った、早産の兆候の場合があります。
安産するために子宮口を開く方法を紹介した、以下の記事もおすすめです。
腰痛を和らげるためには
出産予定日が近づくと、赤ちゃんを産道に近付けておくため
「スクワットなど、毎日身体をよく動かすようにしてください」
と、妊婦健診で先生から指示されることも多いです。
しかしお腹が大きくなり腰痛がひどくなると、日常生活での家事も難しいものです。
また、妊娠中は、市販の痛み止めや湿布薬を先生の許可なく使うのは危険です。
妊婦さんの腰痛を和らげるには、どのような方法があるのでしょうか。
骨盤ベルトを巻く
妊婦さんのうち半数は、腰痛を経験しているというアンケート結果もあります。
妊娠中の節々の痛みから家事や化粧すらおぼつかず、妊婦さんの生活の質が下がってしまうのことも、社会的に問題視されています。
「妊娠6カ月頃から腰痛を感じた」という、以下の妊婦さんのブログにあるように、
「骨盤ベルトを巻いたら、家事や仕事が楽になった」
という声も多いです。
現代人は昔に比べて、便利になった代わりに運動不足気味です。
骨盤周りの筋肉量も落ちているため、骨盤が緩みやすくなっています。
骨盤ベルトを巻くと、骨盤周りが引き締められ、妊娠中に骨盤が広がりすぎるのを防ぐことが出来ます。
出産後も使えるタイプであれば、骨盤が閉じていく際のゆがみを矯正することも出来ます。
猫背解消ストレッチをする
妊婦さんは大きくなったお腹が重たく、自然と前かがみ(猫背)になりがちです。
無意識に背中を丸めて、赤ちゃんを守ろうとするする本能が働くため、猫背になるともいわれています。
猫背は産後も癖になるおそれがあり、以下のようなデメリットがあります。
- 顔の筋肉や胸、お尻が垂れる
- 腰痛や頭痛、肩こり
- お腹が出やすく、肥満体質になるおそれがある
この他にも、めまいや立ちくらみの原因になったりもします。
何より姿勢が悪いと、老けて見えるのも女性には最大のデメリットです。
元気に育児し綺麗でいるためにも、以下の動画のような猫背解消ストレッチも効果的です。
しゃきっとした姿勢でいるだけで、身なりにかまっていられない産後すぐも美しくいられるでしょう。
ストレッチをする際の注意点
通常のストレッチと違い、妊娠中のストレッチには注意が必要です。
赤ちゃんを圧迫しないように行うのはもちろん、母体にも負担がかからないようにしましょう。
とはいえ注意するあまり、臨月にウォーキングやストレッチなどの適度な運動を怠ると、出産のときに体力が持たないおそれもあります。
妊婦さんが身体を動かす際には、具体的にどのような点に気を付ければよいのでしょうか。
前屈やうつ伏せの姿勢は避ける
お腹の赤ちゃんが圧迫されるのは、前屈(前かがみ)の姿勢とうつ伏せの姿勢です。
スクワットなどの縦方向の運動は大丈夫ですが、腹筋など身体を前後する運動は控えたほうが良いでしょう。
背筋と腹筋を無理なく鍛えるのは、「猫のポーズ」のストレッチです。
また、運動する際の服装は、伸縮性があり身体に入るからといって、産前と同じサイズのスパッツやレギンスはNGです。
お腹周りや肛門を締め付けたり、太ももがお腹につくようなストレッチも控えたほうが良いでしょう。
早産傾向があり、先生から安静の指示が出ている妊婦さんもいると思います。
その場合身体を動かす以外にも、以下のような腰痛対策があります。
- 横向きの姿勢で、クッションや抱き枕を足の間に挟んで寝る
- 靴下や腹巻で体を冷やさないようにする
- 尾てい骨や腰にカイロを貼り温める
冷えは関節痛の元になるので、夏場でもクーラーにあたりすぎないようにしましょう。
お腹の張りなど体調のすぐれない時にはやらない
「産婦人科からもらった出産の案内にも、安産体操をするように書いてあるし、毎日ストレッチを頑張らないと」
お腹の赤ちゃん思いの妊婦さんほど、雨の日も体調が悪い日も頑張ってしまいがちです。
妊娠中は何が起こるかわかりません。
ストレッチ中にお腹が張ってきたり、痛む場合は直ちに中断しましょう。
ストレッチの翌日に性器から出血があったりすると、出産が近いことを知らせる「おしるし」かもしれません。
単なる体調不良かもしれませんが、先生と相談の上、無理のない腰痛対策をおすすめします。
まとめ
あまりにも腰痛がひどいと、整体院に行くことを検討する妊婦さんもいるかもしれません。
しかし妊婦さん専用の整体院以外では、妊婦さんは受け入れていないのがほとんどです。
そのくらい、臨月には赤ちゃんに何が影響するかはわかりません。
SNSなどで臨月を迎えたプレママたちが、頑張ってストレッチしているのを見て
「私も同じママとして、頑張らないと」
と気負い過ぎるのは良くありません。
自分の体調に素直に向き合い、腰痛がひどい時はまずはゆっくりすることが良いでしょう。
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