「男の子だから、やんちゃで大変でしょう」
男の子を出産したママは、こうした言葉を周囲からかけられてきたのではないでしょうか。
毎日お友達とたくさん遊んで、幼稚園から泥だらけで帰ってきたり、膝小僧や腕をすりむいて傷が絶えないほど活発な男の子のママはママで、心配や怒ることに忙しいものです。
乱暴な男の子にも困ったものですが、大人しすぎる男の子のママは、
「男の子なのに大人しいのは、どこかおかしいのかしら」
と、親心から少し不安になってしまうかもしれません。
ここでは大人しい男の子の特徴と、親としてどうしたことに注意して見守ってあげると良いかなどをまとめてみました。
男の子なのに大人しいと悩む必要はない
「女の子なのに、お人形遊びより電車や車のおもちゃが好き」
「男の子なのに、外で遊ぶのが嫌いみたい」
など、大人は自分の常識の中に子供を当てはめて見てしまうものです。
大人しいと言われる男の子は、外で身体を動かすよりも以下のような遊びを好んでいる傾向があります。
- 折り紙や絵を描いたり、一人で静かに遊んでいる
- 絵本をずっと読んでいるなど、動作が少ない同じ遊びを長時間している
- 他の男の子と大きな声を出したり体を動かしたりして、一緒に遊ばない
このような男の子のママは、活発過ぎて生傷と心配が絶えない他の男の子とそのママを見て、
「うちの子は手がかからなくて助かるけど、少し元気がなさすぎるかもしれない」
と、悩んでしまうかもしれません。
大人しい=悪いことではない
「〇〇ちゃんは良い子だけど大人しいから、もう少し積極的にお友達に話しかけましょうね」
など、子供の頃学校で三者面談のときに、先生からこのように注意されたママも多いのではないでしょうか。
そのため
「大人しい、静かなことは直さなくてはいけないこと」
と思い込んでいるママも多いかもしれません。
特に兄や弟など、身近で男の子の活発さを見てきたママは、静かに絵本を読んでいるなど、大人しい男の子もいることに想像がつかないことも多いものです。
しかし大人しいことは悪いことではありません。
生まれつきの個性は人それぞれです。
「保育園に行かせなかったし、私が積極的に他の子と接する機会を持たせてあげなかったからかも」
などと、ママが何でも自分のせいにして、悩み過ぎるのは禁物です。
否定的な考えをしていると、
「どうしてもっとみんなの輪に入っていけないの?」
など、子供にも否定的な言葉を無意識にかけてしまいます。
育児を楽しむためにも、大人しいことを肯定的にとらえるよう意識を変えることが必要です。
内気な子は内面がとても豊か
ある保育士さんの話によると、毎年入園してくる子たちが変わっても、「男の子のうち2割くらいは大人しい」のだそうです。
逆に女の子でも、男の子のような性格といわれる子もいます。
その場合は
「おてんばで元気な娘」
「男の子も顔負けなくらい活発」
などと、肯定的に表現されることが多いです。
しかし大人しい男の子は、
「女の子より大人しいけど、どこか身体が弱いんじゃないの?」
など、大人しいこと自体を否定されてしまう傾向があります。
前述のように、生まれつき2割の男の子はインドアな遊びが好きなのです。
インドアな遊びが好きということは、一人でも黙々と遊べるほど、集中力があり想像力も豊かな証だとも言えます。
また、絵本を読むのが好きな子は、内面が情緒豊かに育っているとも言えます。
絵本は絵と文章の総合芸術といわれています。
絵本の文章は美しい詩のように無駄がないように練られていて、絵だけで大体のストーリーが想像できるように工夫され、足りない分は想像力で補えるよう考えられています。
想像力は自分とは違うの人の立場を考え、思いやる力、つまり人間力につながっていきます。
お友達が少なくてもプレッシャーをかけない
親として、子供が幼稚園に入園したり小学校に入学するなど、新しい環境に飛び込んだ時に最も気になるのは、
「友達がたくさんできるかしら」
ということでしょう。
しかもただ友達ができればいいのではなく、
「悪い遊びに誘わない、良いお友達とだけ仲良くなって欲しい」
と願うものです。
しかしその願いは、子供にはハードルが高すぎるかもしれません。
仲良くなるのに時間がかかったり、どんなお友達と気が合うかは、その子の個性やタイミングによります。
ママも小さい頃、少し意地悪だけどなぜか馬が合う子がいたり、クラスに一人も気が合うお友達ができなかった時期はないでしょうか。
そうしたとき願ったのは、親が
「友達はできたの?」
とプレッシャーをかけてくるのではなく、ありのままの自分を認めてのんびり見守ってくれることではないでしょうか。
しかしどうしても、園庭でぽつんと一人でいる我が子をみると、親として心配になってしまうものです。
そんな時は以下のように工夫して、心配やプレッシャーを子供に伝えないようにしましょう。
- 子供が活発過ぎて悩んでいるママの話を聞いてみる
- 出産するまでのこと、出産当時の感動をアルバムやエコー写真を見て思い出す
- 自分がどんな子供だったかを思い出す、または母親に自分が幼少期の頃に悩んだことを聞いてみる
活発過ぎる男の子をもったママに話を聞くと、
「大人しいなんてうらやましすぎる」
「喧嘩せず、ケガをしないで平和に過ごしてくれるのは何よりだよ」
などと、意外な意見も聞けるものです。
やんちゃが過ぎると、以下のようなリスクもあるからです。
- 気性が荒く、行動も荒いため道路に飛び出したり、常に親の心身の苦労が絶えない
- お友達との喧嘩が多く、他の親御さんに謝りに行ったり気を遣う
特に交通事故に遭うリスクが上がってしまうのは、本当に心配なものです。
苦労話に耳を傾けながら、活発過ぎて悩むママに
「車や電車が好きで走って見に行ってしまう時は、おもちゃ売り場で走るプラレールを眺めさせて、自分で作る楽しみも教えてあげたりするといいよ」
など、大人しい男の子のママならではのアドバイスをしてあげるのも良いかもしれません。
また、出産のときのことを思い出すのも、大人しいなどの性格とは関係なく、我が子の存在自体をいとしいと再確認するきっかけになります。
難産だった、不妊治療でようやく授かったなど、
「どんな子でも、元気で生まれてきてくれたらそれで良い」
と願ったのではないでしょうか。
親に自分が幼少時どんな子どもだったか聞いてみるのも、育児に悩んでいるときには有効です。
人は三歳以前の記憶をなくしてしまうといいます。
「自分もなかなかお友達ができなかったんだ」
など、思いもよらない幼い頃の様子を伝えられると、
「やっぱり親子なんだ」
と腑(ふ)に落ちたり、身近な育児の大先輩である親から
「その子の個性だから、気にしても仕方ないよ」
と、心が楽になるアドバイスをもらえるかもしれません。
自分に自信をつけさせるためには
大人しいことが悪いことではないとはいえ、以下のママのように、あまりにもじもじしていたりすると将来が心配になってしまうのではないでしょうか。
今4才ですが2歳くらいの大きさで、大人しく泣き虫でとても心配しています。
(中略)
気が小さくて何でも「怖い」と申しますので、今は自信を付けさせることと、自立心を徐々に付けさせること、興味と安心感を生活に持たせることを心がけようと思っています。
引用:大人しい男の子
大人しすぎると、
「口数が少ないことで誤解されたり、将来子供自身が余計な苦労をしてしまうのでは」
と心配になるものです。
親として大人しさを否定することなくしてあげられることには、どんなものがあるのでしょうか。
小さな成功体験を大切にする
上記のママの悩みに対し、育児の先輩ママからは以下のような指摘が出ていました。
- テレビばかり見せていないか
- 外に出す生活をしているかどうか
特に、「大人しすぎて友達がたくさんできるか心配だ」という悩みに対し、以下のような鋭い指摘が目立ちました。
友達と上手に遊ぶのも大事ですが、何かに突進していくパワーを引き出してあげてからの方がいいと思いますよ。
引用:大人しい男の子
友達の数など、結果をいきなり求めるのではなく、まずは友達を作る行動に出るためのパワーが必要だということです。
積極的、行動的になるには、大人もですが自信が必要です。
自信をつけるには
「大人も登れないような山に挑戦し登頂した」
「学芸会で主役に抜擢された」
など、みんなから称賛されるような派手なことをするだけではありません。
こうした目に見える大きな成功をする機会は、大人でもかなり少ないものです。
大切なのは日常の中の様々なことに挑戦させてあげて、以下のような、【小さな成功体験】をたくさん積み重ねさせてあげることです。
- 服のボタンを違えることなく、時間がかかっても自分でつけることができた
- ご飯の時に、おはしやコップを自分で出してくることができた
- たくさん走って疲れたときに、ママやパパに思い切り抱きとめてもらえた
小さなことでも自分でできた時の感動を積み重ねると、子供の自信のみならず、大変そうに思えることでもチャレンジしてみたり、日々を楽しく生きていく力になります。
ほめることが元気につながるのは、ママも同じです。
仕事とは違い、毎日頑張っても給料が上がったりほめられるわけではない子育てに、報われない思いを抱いているママは多いものです。
二人目の育児に悩んだ時の対処をまとめた以下の記事のように、時には旦那さんや地域のサポートに頼りながら、
「初めて子供を公園に連れていけた」
「人見知りだけど支援センターで、勇気を出して他のママに話しかけることが出来た」
など、自分をほめてあげる習慣をつけると、ママにつられて子供の元気も引き出してあげられるかもしれません。
関連 二人目の年子育児|大変な時期やコツを知って乗り切ろう
失敗しても決して責めないこと
小さな成功体験を積み重ねるには、その分たくさんの失敗も伴います。
周りの大人はケガをするのが予測できたりして危なっかしく感じ、つい手を貸してあげたくなります。
しかし大切なのは自信をつけさせることよりも失敗したり、できたときに感動したりといった、【体験を子供から奪わないこと】だと覚えておきましょう。
・大人の差し出す手が過剰にならずに、失敗も含めた十分な経験をさせてあげること
・子どもの個性を大切にしながら見守り、できた・できないではなく存在自体を愛すること大人しくて自信のない子どもの親御さんは、この2つを意識して、ゆったりとお子様の成長を見守ってあげると良いと思います。
引用:本当に大切なのは“自信をつけさせること”よりも“奪わないこと”
ママ自身も子供の頃、何かしようとしていたら横から大人に口を出されたり、つまづきそうな石ころを飛び越えようとしていたのに先回りして取り除かれると、
「自分でできるのに、邪魔しないで」
と、うっとうしく思わなかったでしょうか。
子供は日々色々な失敗をして、そこから悲しみや落ち込み、励まされたりして、また頑張ろうとする気持ちなどたくさんの感情を得ます。
「失敗して落ち込むのがわかってるから、可哀想だから」
というのは、子供を思っているようで、そうした姿を見るのが辛い大人のエゴかもしれません。
以下の【夜回り先生】で有名な水谷修さんの動画では、非行に走ってしまうのは貧困であったり、親に放置されていた子供よりも、失敗を許されず過剰に構われていた子のほうが多いと言われています。
「失敗したら思い切り抱きしめてあげる」
くらいのどっしりとした気持ちで、おおらかに見守ってあげられるといいですね。
一つでも得意なスポーツを身につけさせる
大人しくてもその子の個性ですが、体を鍛えるためにも何か好きなスポーツをさせてあげたいものです。
スポーツは絵を描くなどの芸術的な趣味とは違い、点数や順位など、子供にも目に見えて結果がわかりやすく自信を育てるには良いでしょう。
できれば一つでも、野球やサッカーなどの地域のクラブに入ったりして、得意なスポーツを持っていると、スポーツを通して他の男の子とも活発に遊べたりします。
注意したいのは、目に見えて結果が見えやすい分、ダメだった時もはっきりとわかり落ち込んでしまいます。
子供のミスでチームが負けてしまったりした時に
「どうして球がとれなかったの」
などとダメ出しするのではなく、また、上手にできた時に
「勝てたね!よく頑張ったね!」
などと、結果にだけこだわるのは良くありません。
よくできたときも結果より「過程」をほめてあげることが、子供の自信につながると、教育評論家の尾木直樹さんも説明しています。
教育評論家の尾木直樹さんも
・子どもにはいろんな経験をさせてあげる
・結果を褒めるのではなく過程を褒める
の2つについては、数多くの著書や、TV出演の際におっしゃっています。
引用:小さな成功体験を積ませる
最近、日本では政治家や芸能人の不倫などの不祥事が、たった一度でも報道されると、メディアやインターネット上でことさらにたたかれ、それまで築き上げた成果や評価を一気に失ってしまう傾向にあります。
失敗が一度でも許されない風土が、何事にも消極的でチャレンジできない、草食系男子という言葉を生んだのかもしれません。
大人しくても活発でも、好きなことを思い切りさせてあげたいですね。
まとめ
日本では古くから和を尊ぶ精神があり、幼い頃から周囲と協調することが何より大切だと教えられます。
【同調圧力】(どうちょうあつりょく)ともいい、このように周囲の空気を読むことは大切なことですが、いきすぎると個性を認めない息苦しい社会になるといえます。
我が子が生きる社会が息苦しくならないように、一人一人がまず自分の子供の個性を認めてほめてあげ、おおらかに子育てしていけるといいですね。
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