産後はホルモンバランスが急激に変化します。
それに伴い、産前や妊娠中には見られなかったような身体の変化に戸惑うことが多くなります。
女性のホルモンバランスや健康状態を表わすおりものも、量が増えたりにおいが変わることがあります。
- 産後はおりものが増える場合がある
- 産後のおりもの対策
- 産後のおりものに異常を感じたら疑う病気
この記事では、産後おりものが変化する原因と、量が増えた場合の対策、おりものの状態から疑われる病気について紹介します。
産後はおりものが増える場合がある
- ホルモンバランスの急激な変化や乱れが原因
- ストレスや免疫力の低下
ここでは、産後におりものの量が増えたり変化してしまう原因について解説します。
ホルモンバランスの急激な変化や乱れが原因
妊娠中と産後では、分泌されるホルモンの種類や量も劇的に変化します。
妊娠中は普段の数倍ホルモンの分泌が盛んになります。
そして、分娩時にピークを迎え、産後には一気に分泌量がゼロに近くなってしまいます。
- 妊娠中…子宮を大きくする卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が多く、初期は特におりものの量も多め
- 産後…卵胞ホルモンと黄体ホルモン(プロゲステロン)のバランスが急激に乱れ、おりものが増えたりにおいが出たりする
産褥期(さんじょくき)と呼ばれる産後1カ月ほどは、おりものがくさいと感じたり、血が混じっていたりします。
この時期は出産で傷ついた子宮の中に残っている内膜や胎盤のカスが、体外に出てくる状態で、身体が元に戻ろうとしている証拠とも言えるのです。
ストレスや免疫力の低下
分娩が終わって数時間後には、赤ちゃんへの母乳やミルク、おむつ替えなどのお世話が待っています。
出産には富士山に登るほどの体力を消耗すると言われています。
それなのに間髪入れずに慣れない育児が始まり、ママには休む暇もありません。
産後の疲れや慣れない育児のストレスで、ママの免疫力はどうしても下がってしまいます。
免疫が下がると、細菌を侵入させないようにするおりものの量も増えることになります。
産後のおりもの対策
- おりものシートはこまめに取り替える
- 入浴時にデリケートゾーンを優しく洗う
- 定期的な膣内洗浄
ここでは産後にしておくと便利な、おりもの対策について紹介します。
おりものシートはこまめに取り替える
おりものシートは通気性が良く蒸れにくいのが特徴です。

生理の始まりの時期や終わりがけに愛用する女性も多く、仕事中や外出先でも重宝します。
おりものシートはこまめに取り替えないと、少しでも雑菌がつくと時間と共に雑菌が繁殖してしまいます。
つけっぱなしにはせず、おりものが少しでもついたら新しいものに交換しましょう。

特に産後1カ月の産褥期はママの免疫力も弱いので、排尿のたびに取り替えるくらいの意識で良いかもしれませんね。
入浴時にデリケートゾーンを優しく洗う
産後は出産のダメージで、膣の中も傷ついています。
入浴時やトイレに入った時は、不快なおりものを洗い流すチャンスですが、以下の点を気を付けて洗いましょう。
- 石けんでゴシゴシ洗わず、優しく洗う
…普通の石けんでは洗浄作用が強すぎるので、デリケートゾーン用石けんを使いましょう。
洗いすぎによる炎症も予防できます。 - 洗浄機能付きの便器で、トイレに入るたびにビデを頻繁に洗わない
…おりものを洗い流しすぎると、膣の自浄作用も弱まってしまいます。
おりものでぬるぬるして不快だからといって、デリケートゾーンに指を入れてかきだし、洗い流すのも良くありません。
爪で膣内を傷つけたり、爪の中の雑菌でかえって不衛生になることがあります。
定期的な膣内洗浄
膣内専用の洗浄薬剤はドラッグストアやインターネットで購入できます。
ただし、使い過ぎはよくないので膣内洗浄は1週間に1回など、定期的にと決めておきましょう。



産婦人科でも、おりものの状態が気になる事を伝えれば、必要であれば膣内洗浄をしてもらうことができます。
洗いすぎるとかえって膣内を傷つけたり、おりものを取り除きすぎて、おりものが外に運んでくれるはずの雑菌から守られにくくなります。
産後のおりものに異常を感じたら疑う病気
産後、おりものに変化が出るのは珍しいことではありません。
しかし明らかに異常を感じたら、何かの病気の可能性を疑うべきかもしれません。
- カンジダ膣炎
- 膣トリコモナス
- クラミジア頸管
ここでは、おりものの状態から疑われる病気について紹介します。
カンジダ膣炎
カンジダ菌は、健康な体内にも存在している常在菌です。
しかし産後のダメージを受けた身体では、異常に増殖してしまうことがあります。
- 膣やデリケートゾーンに強いかゆみを感じる
- おりものがボソボソした形状で、ヨーグルトやチーズのように感じる
カンジダ膣炎は放置していても、自然に完治することはありません。



治ったと思っても症状を繰り返したりするので、産婦人科で膣内を洗ってもらい、膣剤を入れて治していきます。
膣トリコモナス
以下の動画では、おりものの状態から疑われる病気をまとめています。
- 性交渉や大勢の人が入るプールや温泉でも、感染することがある
- 家族と共有のお風呂や便器などからもうつる可能性があり、感染力が強いので家族内でうつる場合がある
- おりもの、膣から強いにおいを発する
- 黄緑色のおりものが出たり、膣内がかゆかったり痛いと感じる



膣トリコモナスは病院でフラジールという内服薬を処方され、10日間ほどかけて治していくのが一般的です。
クラミジア頸管
クラミジア頸管(けいかん)炎は、クラミジアという細菌が子宮の入口で増殖してしまうことで起こります。
初期症状はおりものが増えることくらいですが、重症になると下腹部に痛みが走ったり、出血も見られることもあります。
- ドロッとしていない、水っぽいおりものが出る
- おりものの量がいつもより多いと感じる
- おりものの色が透明や乳白色だったのが、ピンクや茶褐色になることがある
クラミジア頸管も、放置していると危険です。
子宮頚管炎や卵管炎を起こすことがあるので、産婦人科で抗生物質を投与・処方してもらいます。
まとめ
産後はおりものの状態が気になっても、赤ちゃんのお世話で忙しく放置してしまいがちです。
おりものに強いにおいを感じたり、量がやたら増えたと感じるのは、それだけ身体が弱っていたり何かの病気の疑いがあります。
産後のリフレッシュの意味も兼ねて、赤ちゃんを預けて一度診てもらうと安心かもしれませんね。
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