出産は母子共に、何が起こるかわかりません。
妊婦健診の経過が順調でも、お産が進むにつれて不調がみつかり、緊急「帝王切開」になる人もいます。
そんな万一の場合を考えて、お産が終わるまで点滴されることが多いです。
しかし注射が苦手な人は特に、どうしても点滴する必要があるのか気になりますよね。
- 出産時に点滴をする理由
- 出産時の点滴でつらいこと
ここでは、出産時に点滴が必要な理由や、点滴の際に心配なことをまとめました。
出産時に点滴をする理由
出産はどれだけ体調を万全にしていても、必ず安産できるとは限りません。
- 出産時のトラブルに備えた血管確保
- 中身はブドウ糖であることがほとんど
- 陣痛促進剤を投入することもある
ここでは、お産の際に点滴が必要な理由について説明します。
出産時のトラブルに備えた血管確保
出産時には、大量に出血することもありえます。
出血してから血管を探していては、1分1秒を争う事態に対処が難しいおそれがあります。
お腹の中の状態は外からはわかりません。
不測の事態に陥る前に、血管を確保しておくことは大切なのです。
- 出血したときに、点滴で血液循環を促すことができる
- 1秒でも早く輸血することができる
- 点滴を通して、母子に必要な薬剤を投与することができる
中身はブドウ糖であることがほとんど
気になる点滴の中身ですが、問題がないお産の場合は、ブドウ糖や電解質液であることがほとんどです。
他には「リンゲル液」といって、血液の代用として使われる液体の場合もあります。
リンゲル液は下痢や嘔吐がある場合、脱水症状の改善を目的にも用いられます。
どちらも身体に刺激や負担の心配が少ないので、

今何を、点滴から身体に入れられてるんだろう…
と想像して心配するより、陣痛を逃したりお産に集中する方が良いかもしれませんね。
陣痛促進剤を投入することもある
予定日をすぎても、陣痛がなかなかこないこともあります。
陣痛が弱い場合も画像のように、陣痛促進剤を点滴で入れられるかどうかの選択を迫られることもあります。
- 予定日を過ぎても陣痛が始まらない
- 破水したのに、陣痛がやってこない
- 陣痛はきても、子宮口がなかなか開かない
- 分娩に入れるような有効な陣痛がこない(陣痛微弱が続く)
陣痛促進剤の中身は、自然に近い形で出産を促すオキシトシンであることが多いです。
出産時の点滴でつらいこと


陣痛よりも出産時の点滴がつらかった!
と振り返るママも、少数ですがいます。
- 陣痛に耐える時に行動に制限がかかること
- ハリを抜くときに痛みが生じる
ここでは、出産時の点滴で心配なことについて解説します。
陣痛に耐える時に行動に制限がかかること
陣痛は「鼻からスイカを出す痛み」と表現されます。



採血や注射が苦手で、出産時の点滴が陣痛よりも憂鬱(ゆううつ)
と心配する妊婦さんがいますが、陣痛が始まると点滴のことを気にする余裕がなくなるケースがほとんどです。


陣痛に耐える時に暴れて、いきむときにも針があるせいで行動に制限がかかるのでは?
と思うかもしれませんが、ある程度動かしても問題がないような針が使われています。
※半透明で針の先が柔らかく、細いパイプのような形状になっています。


お産など長時間での使用を想定した針なので、過度に怖がる必要はないでしょう。
ハリを抜くときに痛みが生じる


手の甲に刺されて、少し動かすと血が逆流して怖かった。出産時は痛くなかったけど、産後のオムツ替えの時にしばらく痛かった
と振り返るママもいます。
中には陣痛の最中に点滴の針が抜けてしまい、血がダラダラ出てしまったというケースもあるそうです。
採血もそうですが、看護師さんによって注射の針を抜き差しするのが上手・下手があります。
最近は「留置針」といって、点滴を刺した後すぐに針を抜くタイプのものが増えました。
これだと血管内には柔らかいパイプ部分のみが残ります。
産婦人科の先生や助産師さんたちも、多くの妊婦さんたちを見てきて、安全に使える点滴を選んでくれます。
点滴が苦手な妊婦さんも、無事に出産できることに集中すると良いかもしれませんね。
点滴前に声かけや、少しでも痛くない工夫を考えてくれるかもしれません。
まとめ
産みの苦しみがあることは仕方ないですが、点滴までされたままだと知ると、さらに恐怖が強くなりますよね。
しかし母子の安全のために、点滴は必要です。


赤ちゃんに会えるまであとほんの少し
と意識を数時間後に向けると、点滴を忘れて、あっという間に赤ちゃんに会えるかもしれませんね。
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